銀行に「今期は大丈夫です」と説明するだけで十分ですか?|建設会社が未来の数字を金融機関に伝える方法

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「今期は仕事もありますし、利益も出ると思います」

金融機関との面談で、建設会社の社長がこのように説明することがあります。

もちろん、間違った説明ではありません。

しかし、金融機関から見れば、もう少し知りたいことがあります。

「では、今期の利益はいくらになりそうですか?」

「半年後の預金はいくら残りそうですか?」

「これから必要になる運転資金はいくらですか?」

ここまで数字で説明できる会社は、意外に多くありません。

建設会社の経営管理では、現在の試算表を説明するだけではなく、受注残から未来の利益と資金を読み、それを金融機関に説明できる状態にしておくことが重要です。


金融機関が見ているのは「過去」だけではない

試算表や決算書に書かれている数字は、基本的には過去の結果です。

売上はいくらだったのか。

利益はいくら出たのか。

借入金はいくらあるのか。

預金はいくら残っているのか。

もちろん、これらは重要です。

しかし、融資を考える金融機関にとって、過去の数字だけで判断が完結するわけではありません。

「この会社は、これからどうなるのか」

も重要な判断材料になります。

建設会社の場合、その未来を考えるうえで非常に重要なのが受注残です。


受注残を「金額」だけで説明しない

例えば、

「現在、受注残が2億円あります」

と説明したとします。

仕事が確保されていることは分かります。

しかし、これだけでは今後の利益までは分かりません。

受注残2億円の中に、

  • どれだけの粗利が含まれているのか
  • いつ工事が進むのか
  • いつ売上になるのか
  • いつ原価の支払いが発生するのか
  • いつ工事代金が入金されるのか

まで見なければ、本当の意味で未来を読むことはできません。

同じ受注残2億円でも、

粗利が4,000万円見込める会社と、2,000万円しか見込めない会社では、将来の利益は大きく違います。

さらに、利益が出る工事であっても、材料費や外注費の支払いが先行すれば、一時的に資金が大きく減ることがあります。

つまり、

受注残 → 利益 → 資金

までつなげて考える必要があります。


「今期の利益着地」を説明できるようにする

まず確認したいのが、現在までに実現した利益です。

そして、進行中の工事や受注残から、今後実現する見込みの粗利を計算します。

例えば、

現在までの実現粗利 4,000万円

受注済工事から見込まれる粗利 3,000万円

今期必要な粗利 8,000万円

だとします。

この場合、

まだ1,000万円の粗利を確保する必要がある

ことが分かります。

さらに、仮に今後受注する工事の想定粗利率が20%なら、1,000万円の粗利を確保するためには、約5,000万円の追加受注が必要というところまで逆算できます。

ここまで整理できれば、

「仕事はあります」

という説明から、

「現在の受注残から3,000万円の粗利を見込んでいます。今期計画を達成するためには、あと1,000万円の粗利、受注額に換算すると約5,000万円を確保する必要があります」

という説明に変わります。

これは金融機関への説明だけのためではありません。

社長自身が「あと、いくら受注すればいいのか」を具体的に把握できる。

そこに大きな意味があります。


さらに「半年後の預金」まで読む

ただし、利益だけでは十分ではありません。

建設会社では、

利益が出る時期と、お金が増える時期が一致しない

からです。

そこで、各工事について、

売上予定

入金予定

材料費・外注費などの支払予定

を月別に整理します。

さらに、

給与

家賃

その他の固定費

税金

借入金返済

などを加えます。

すると、

3か月後、6か月後に預金がいくらになっているのか

を予測できるようになります。

例えば、

「利益は出る見込みですが、工事代金の入金より外注費の支払いが先行するため、3か月後に預金が2,000万円程度まで減少する見込みです」

ということが分かれば、資金が足りなくなってから金融機関へ相談する必要はありません。


資金が足りなくなる前に相談する

金融機関への資金調達相談で避けたいのは、

「来月、資金が足りません」

という段階になって初めて相談することです。

一方、

「現在の預金は4,000万円あります」

「受注残は2億円あります」

「今期の利益は確保できる見込みです」

「ただし支払いが先行するため、3か月後には預金が2,000万円程度まで減少する予測です」

「その後、工事代金の入金によって回復する予定です」

という説明ができれば、金融機関との話は変わります。

これは単に「融資を受けやすくするテクニック」という話ではありません。

自社の未来を数字で把握したうえで、必要な資金を事前に準備する経営

ということです。


金融機関への説明資料と経営管理資料は、本来同じもの

私は、金融機関へ提出するためだけに特別な資料を作る必要はないと考えています。

本来、経営者が毎月確認している数字そのものが、金融機関への説明資料になるべきです。

現在の売上と利益。

工事別の粗利。

受注残。

今期の利益着地。

今後の資金繰り。

将来の預金残高。

これらを経営者自身が毎月確認していれば、金融機関から質問されたときにも説明できます。

逆に言えば、

銀行から聞かれたときだけ数字を集める状態では、経営管理としても十分とは言えません。


過去の決算書から「未来の経営」へ

これまで、この連載では、

工事ごとの粗利を把握すること。

受注残から将来の利益を読むこと。

利益と現金の時間差を見ること。

そして、半年後の預金残高を予測すること。

まで進めてきました。

これらは別々の話ではありません。

すべてつながっています。

受注残が将来の売上になります。

売上と原価から将来の利益が生まれます。

入金と支払いのタイミングから将来の資金残高が決まります。

そして、その数字を経営者自身が把握できれば、金融機関に対しても「未来」を説明できるようになります。

決算書を見て過去を説明するだけではなく、

これから会社がどうなるのかを数字で説明できる会社にする。

これも、Gリバースで目指している経営管理の一つです。


次回はいよいよ最終回です

ここまで、現在の工事から受注残、利益、資金へとつなぎ、**「このまま進んだ場合、会社はどうなるのか」**を予測してきました。

一方、Gリバースでは、もう一つの方向から会社の数字を考えます。

3年後、どんな会社にしたいのか。

そこから、

組織・人員

固定費

必要利益

必要粗利

必要売上・必要受注

必要資金・財務体質

へと逆算していきます。

つまり、

3年後から現在へ逆算する数字と、

現在から近未来を予測する数字。

この二つをつなげることが重要です。

次回、最終回では、

3年後から逆算した「あるべき数字」と、現在の受注・工事から予測した「このまま進んだ場合の数字」を毎月比較する。

そのために作った「Gリバース経営管理ダッシュボード」も含めて、これまで連載してきたGリバースの全体像をまとめます。

3年後から逆算し、半年後を予測する。

次回は、Gリバース経営管理の完成形です。