経営業務の管理(1/2)

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◇令和2年10月1日より、経営業務の管理については、次のとおりとなります。
 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること。(法第7条第1項)


◇施行規則第7条により、国土交通省令で定める基準は以下のとおり定められています。
一 次のいずれかに該当するものであること。
イ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。
(1)建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(2)建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者
  (経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者   
(3)建設業に関し六年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者

注)「(2)」「(3)」での申請(届出)については、事前にご相談下さい。


ロ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であつて、かつ、財務管理の業務経験(許可を受けている建設業者にあつては当該建設業者、許可を受けようとする建設業を営む者にあつては当該建設業を営む者における五年以上の建設業の業務経験に限る。以下このロにおいて同じ。)を有する者、労務管理の業務経験を有する者及び業務運営の業務経験を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者としてそれぞれ置くものであること。

(1)建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有し、かつ、五年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者
(2)五年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有する者

注)「ロ」での申請(届出)については、事前にご相談下さい。


ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げるものと同等以上の経営体制を有すると認定したもの。 


二 次のいずれにも該当する者であること。
(1) 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第三条第三項に規定する適用事業所に該当する全ての営業所に関し、健康保険法施行規則(大正十五年内務省令第三十六号)第十九条第一項の規定による届書を提出した者であること。
(2) 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第六条第一項に規定する適用事業所に該当する全ての営業所に関し、厚生年金保険法施行規則(昭和二十九年厚生省令第三十七号)第十三条第一項の規定による届書を提出した者であること。    
(3) 雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第五条第一項に規定する適用事業の事業所に該当する全ての営業所に関し、雇用保険法施行規則(昭和五十年労働省令第三号)第百四十一条第一項の規定による届書を提出した者であること。


◇許可を取得した後に、上記要件を満たさなくなった場合は、許可は取消されます。(法第29条第1項第1号)

※「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力」について

(1)「常勤役員等」とは
法人である場合においてはその役員のうち常勤であるもの,個人である場合にはその者又はその支配人をいい,「役員」とは,業務を執行する社員,取締役,執行役又はこれらに準ずる者をいいます。「業務を執行する社員」とは,持分会社の業務を執行する社員をいい,「取締役」とは,株式会社の取締役をいい,「執行役」とは,指名委員会等設置会社の執行役をいいます。「支配人」とは,営業主に代わって,その営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をなす権限を有する使用人をいい,これに該当するか否かは,商業登記の有無を基準として判断します。また,「これらに準ずる者」とは,法人格のある各種組合等の理事等をいい,執行役員,監査役,会計参与,監事及び事務局長等は原則として含みませんが,業務を執行する社員,取締役又は執行役に準ずる地位にあって,許可を受けようとする建設業の経営業務の執行に関し,取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限委譲を受けた執行役員等(建設業に関する事業の一部のみ分掌する事業部門(一部の営業分野のみを分掌する場合や資金・資材調達のみを分掌する場合等)の業務執行に係る権限移譲を受けた執行役員等を除く。以下同じ。)については,含まれるものとします。なお,常勤役員等は,営業所に常勤していなければなりません。

ア「常勤」とは,原則として本社,本店等において休日その他勤務を要しない日を除き,一定の計画のもとに毎日所定の時間中,その職務に従事している状態をいいます。なお,宅地建物取引士,管理建築士等他の法令により専任を要するとされる者とを兼ねることはできません。ただし,同一営業体で,かつ同一の営業所である場合は,両者を兼ねることができます。また,他者の常勤職員,他の法人の清算人,国又は地方公共団体の議会議員は,常勤性・専任性に欠けるため常勤役員等としては認められません(建設業法施行令第3条の使用人も同様)。

イ「建設業に関し」とは,全ての建設業の種類をいい,業種ごとの区別はなく,全て建設業に関するものとして取り扱います。

ウ「経営業務の管理責任者としての経験を有する者」とは,業務を執行する社員,取締役,執行役若しくは法人格のある各種の組合等の理事等,個人の事業主又は支配人その他支店長,営業所長等営業取引上対外的に責任を有する地位

エ「経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)」とは,取締役会設置会社において,取締役会の決議により特定の事業部門に関して業務執行権限の委譲を受ける者として選任され,かつ,取締役会によって定められた業務執行方針に従って,代表取締役の指揮および命令のもとに,具体的な業務執行に専念した経験をいいます。

オ「経営業務を補佐した経験」(以下「補佐経験」という。)とは,経営業務の管理責任者に準ずる地位(業務を執行する社員,取締役,執行役若しくは法人格のある各種の組合等の理事等,個人の事業主又は支配人その他支店長,営業所長等営業取引上対外的に責任を有する地位に次ぐ職制上の地位にある者)にあって,許可を受けようとする建設業に関する建設工事の施工に必要とされる資金の調達,技術者及び技能者の配置,下請業者との契約の締結等の経営業務全般について,従事した経験をいいます。(補佐経験を認める際の基準については,P77「経営業務の管理責任者の補佐経験について」を参照してください。)

カ「財務管理の業務経験」とは,建設工事を施工するにあたって必要な資金の調達や施工中の資金繰りの管理,下請業者への代金の支払いなどを行う部署におけるこれらの業務経験をいいます。「労務管理の業務経験」とは,社内や工事現場における勤怠の管理や社会保険関係の手続きを行う部署おけるこれらの業務経験をいいます。「業務運営の経験」とは,会社の経営方針や運営方針を策定,実施する部署におけるこれらの業務経験をいいます。これらの経験は,常勤役員等を直接に補佐する者になろうとする建設業を営む者の経験に限られます。(他社での経験は不可)「直接に補佐する」とは,常勤役員等との間に他の者を介在させることなく,組織体系上及び実態上当該常勤役員等から直接指揮命令を受け業務を行うことをいいます。

キ「経験年数」とは,連続していることは必要でなく,通算して5年又は6年あればよく,期間の計算は,次のとおり片落しで行います。例)A工務店事業主平成19年4月~平成24年3月4年11月A工務店(株)代表取締役平成26年4月~平成27年5月1年1月計6年0月

(2)社会保険の加入について
「営業所」は建設業法第3条に規定する営業所(本店又は支店若しくは常時請負契約を締結する事務所)であり,健康保険法第34条又は厚生年金保険法第8条の2などの規定によりにより,二以上の適用事業所が一の適用事業所とされたことにより適用事業でなくなったものとみなされた営業所は当然ここでいう「適用事業所」には含まれません。また,雇用保険については,労働保険の保険料の徴収等に関する法律第9条の継続事業の一括の手続きにより一の事業とみなされた事業に係る一の事業の事業所以外の事業所である営業所についてもここでの「適用事業の事業所」には該当しません。

経営業務の管理責任者とは

建設業の許可を得るには、経営業務の管理責任者を置くことを要します。 経営業務の管理責任者とは、その営業所において、営業取引上対外的に責任を有する地位にあって、建設業の経営業務について総合的に管理し執行した経験を有する者をいいます。株式会社の「取締役」や建設業を営む「個人事業主」の業務が経営業務の典型的なものです。

経営業務の管理責任者になることができる要件

法人では「常勤」の「役員」のうち1人が(個人事業では「本人」または「支配人」が)経営業務の管理責任者であることを要します。

経営業務の管理を適正に行うに足りる能力に関する要件が定められていますが、通常は、次のイの(1)に該当する者ということになります。

  •  常勤役員のうち一人が次のいずれかに該当する者であること
    • (1) 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
    • (2) 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務を管理した経験を有する者
    • (3) 建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者
  •  建設業に関する経営体制を有する者(a及びbをともに置く者)
    • a 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者
      • (1) 建設業に関し2年以上役員等としての経験を有し、この期間と合わせて建設業に関し5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者としての経験を有する者
      • (2) 建設業に関し2年以上役員等としての経験を有し、この期間と合わせて5年以上役員等としての経験を有する者
    • b aを直接に補佐する者で、財務管理・労務管理・業務運営の業務経験を有する者
  •  その他、国土交通大臣が個別の申請に基づきイ又はロに掲げるものと同等以上の経営体制を有すると認めた者

(なお、経営業務の管理責任者の要件は、一般建設業(法第7条第1号)と特定建設業(法第15条第1号)とに区別はなく同じです。)

要件の詳細

法人では役員の1人が上記の一つに該当することが必要です。

法人の役員とは「株式会社の取締役」「特例有限会社の取締役」「委員会設置会社の執行役」「持分会社の業務を執行する社員(合名会社の無限責任社員・合資会社の無限責任社員・合同会社の有限責任社員)」「法人格のある各種の組合等の理事」等をいいます。 (* 執行役員・監査役・会計参与・監事・事務局長は、役員ではありません。)

経営業務の管理責任者の常勤性

「経営業務管理責任者」は、常勤であることを要します。 「常勤(経営業務管理責任者)」とは、本社(本店)において、休日・勤務を要しない日を除いて、一定の計画のもとに、毎日所定の時間中その職務に従事していることをいいます。

経営経験年数の証明を裏付ける資料は何でしょうか。

経営経験(年数)の裏付けとして、法人の役員であった場合は、履歴事項全部証明書・閉鎖登記簿謄本などを必要年数をそろえます。個人事業主であった場合は「確定申告書(控え 原本)」と工事請負契約書(または請求書と領収書など)等が確認資料になります。

複数の業種について経営業務管理責任者になるには。

複数の業種の許可を申請する場合でも、1業種のみの経営業務管理責任者としての経験年数が5年以上あれば、許可要件を満たします。

経営業務管理責任者の経験年数は通算できる。

経営業務の管理責任者としての経験の年数は、合算することができます。 法人の役員2年、個人事業主3年の経験であれば、通算して合計5年の経験を有することになります。

経営業務の管理責任者と他の資格との重複・兼務

「経営業務管理責任者」と営業所ごとに置かなければならない「専任技術者」の両方の資格要件を満たしている者は、その営業所(本店)においては、1人で両方を兼務することができます。

また、「経営業務管理責任者」は、同一企業の同一営業所である場合に限って、宅地建物取引主任者等の専任性を要する資格と兼ねて業務を行うことができます。 別会社での兼務重複の場合は、常勤性に欠けることになるので注意を要します。

政令第3条の使用人の届出が5年間あれば経営業務管理責任者となる資格がある。

許可を受けた建設業者が、支店など「従たる営業所」を設けた場合、その営業所の業務について一定の権限を委任された責任者(支店長など)を「政令第3条の使用人」(建設業法施行令第3条の使用人)として届出なければなりません。一定の権限の委任とは、営業所において、請負契約の見積り・請負契約締結など建設業に関する実体的業務を行う権限をいいます。

なお、「政令第3条の使用人」(建設業法施行令第3条の使用人)は、取締役などと同じように、欠格要件に該当しないことが要件となり、その届出には「略歴書・身分証明書・登記されていないことの証明書」の添付が必要です。 政令第3条の使用人とは以上のように、支店長や営業所長など一定の権限を委任された責任者であって、法定の届出がなされている者のことですが、この届出がなされて5年の期間があれば、その者は、経営業務管理責任者となる資格があります。

経営業務管理責任者がいない場合

建設業を営もうとする会社において、経営業務管理責任者がいない場合は、その資格要件に合致する者を役員として招へいし役員登記を了し、社会保険の加入など常勤性が確認できるようにすることで要件を満たすことになります。

また、現に、建設業の許可を受けて営業をしている場合に「経営業務の管理責任者」が欠けたときに、継続して代わりの後任者がいるときは、2週間以内に届出をします(「経営業務の管理責任者証明書(様式第7号)」による変更届)。 その際、実際の就任の日、登記上の就任日および社会保険の取得日の整合性に注意する必要があります。

後任者がいない場合には、経営業務管理責任者が欠けたことを「届出書(様式22号の2)」により届出て、「廃業届(様式22号の4)」を提出します。再度、許可を取るなら資格者を招いて新たに許可申請を行います。「軽微な建設工事」は、許可がなくても行うことができます。