銀行は「結果」を見ています。社長が毎月管理すべきなのは「原因」です。

前回の記事では、建設業は決算書や月次試算表だけでは本当の経営状態を読み解くことが難しく、金融機関でさえ判断に苦労する業種であることをお伝えしました。
そのため、建設会社には「銀行へ説明できる財務管理体制」が必要になります。
すると、よくこんな質問を受けます。
「では、銀行は何を見ているのでしょうか。」
今日は、そのお話です。
しかし、私は最初に一つ申し上げたいことがあります。
銀行が見ている数字を、そのまま社長が管理しても会社は良くなりません。
なぜなら、銀行と社長では役割が違うからです。
金融機関は「結果」を見ています
建設業を担当する金融機関では、
・完成工事未収入金の滞留状況
・未成工事支出金の内容
・立替工事高比率
などを確認します。
例えば、完成工事未収入金が長期間回収されていなければ、
「資金回収に問題はないか。」
と考えます。
立替工事高比率が高ければ、
「資金の先行負担が大き過ぎないか。」
と考えます。
これは金融機関として当然の視点です。
融資をする立場として、会社の安全性を確認しているのです。
しかし、それはすべて「結果」です
完成工事未収入金が増えた。
立替工事高比率が悪化した。
資金繰りが苦しくなった。
これらは確かに重要な数字です。
しかし、
これらは会社で起きた現象であり、結果です。
原因ではありません。
例えば、
完成工事未収入金が増えたとします。
では、なぜ増えたのでしょうか。
請求が遅れたのか。
工事が予定より長引いたのか。
採算が悪く資金不足になったのか。
回収条件が悪かったのか。
原因は様々です。
結果だけを見ても、会社は改善できません。
社長が管理すべきなのは「原因」です
私は、社長が毎月管理すべきなのは、金融機関が見ている数字ではないと考えています。
本当に管理すべきなのは、その結果を生み出している原因です。
私なら、最低限、次の五つを毎月確認します。
①受注残管理
利益が残る受注は十分にあるか。
②工事別利益管理
赤字工事の兆候は出ていないか。
③必達粗利益管理
会社として必要な粗利益は確保できそうか。
④半年後資金残予測
半年後の資金は十分に残るのか。
⑤要改善工事管理
利益率低下や請求遅延など、問題工事はないか。
私は、この五つを毎月管理することで、金融機関が後から確認する数字は、結果として改善していくと考えています。
銀行と社長では、見る数字が違う
銀行は、
「この会社は大丈夫か。」
という視点で会社を見ます。
一方、社長は、
「どうすれば会社をもっと良くできるか。」
という視点で会社を見なければなりません。
つまり、
銀行は結果を見る。
社長は原因を管理する。
ここが決定的な違いです。
おわりに
私は税理士として三十年以上、建設会社と金融機関の両方を見続けてきました。
その中で感じるのは、
資金繰りに苦しむ会社ほど、結果を見て悩み、
成長している会社ほど、原因を管理しているということです。
銀行が見る数字を追い掛けるのではなく、
その数字を生み出す原因を毎月管理する。
私は、それこそが建設業経営の本質だと考えています。
次回予告
では、その「原因管理」は、具体的にどのような考え方で行えばよいのでしょうか。
私は、この考え方を
「Gリバース経営」
と呼んでいます。
次回は、粗利益から逆算して会社の未来を設計する、この「Gリバース経営」の考え方についてお話しします。

昭和63年、中央大学商学部卒。
その後、大手ゼネコン勤務等を経て、平成7年、石田雄二税理士事務所開業。
「会計事務所は最も身近な経営スクール」をモットーとし、マネジメントゲームを用いた経営指導は県外にまで及ぶ。
広島県創業サポーター。広島県事業引継ぎ支援センター登録専門家。