建設会社の粗利管理|「現在地」と「今期の着地」を分けて考える

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建設会社の年間粗利目標を決めたあと、

「では、毎月いくら粗利が必要なのか」

と考えると、まず思いつくのは年間目標を12で割る方法です。

たとえば、年間で1億2,000万円の粗利が必要なら、月1,000万円。

分かりやすい数字です。

ただ、建設会社の場合、これだけでは実際の経営管理には使いにくいことがあります。

工事は毎月同じように始まり、同じように進み、同じように完成するわけではないからです。

年間必要粗利を、まず月別必要粗利へ落とす

これまでGリバースでは、

3年後にどんな会社になりたいのか

を考え、そこから、

3年後の組織

必要人員

人件費・固定費

必要利益

年間必要粗利

と逆算してきました。

次に必要になるのが、この年間必要粗利を月次へ落とすことです。

ただし、単純に12等分すればよいとは限りません。

建設会社では、

・過去の月別完成工事高や粗利の傾向
・繁忙期、閑散期
・工事が完成しやすい時期
・会社固有の季節変動

などがあります。

そのため、年間必要粗利を、

「自社では、何月までにどの程度の粗利を確保していたいのか」

という月別必要粗利へ置き換えていきます。

たとえば年間必要粗利が1億2,000万円でも、

4月 700万円
5月 800万円
6月 1,100万円
7月 1,300万円

というように、会社の実態に合わせて月別に配分することも考えられます。

大切なのは、数字をきれいに配分することではありません。

期中のそれぞれの時点で、

「本来、ここまで粗利を積み上げていたい」

という基準を持つことです。

年間目標だけでは、期中のどの時点で、どの程度の遅れが生じているのかを判断しにくくなります。

月別必要粗利を置けば、現在地とのズレを早い段階で確認しやすくなります。

月別に計画する。ただし、判断は累計でも見る

ここで建設業では、もう一つ注意したいことがあります。

月別必要粗利を決めたからといって、

「今月は達成した」
「今月は未達だった」

と単月だけで判断するのは適切ではありません。

建設業は、工事の完成時期や進捗が月ごとに凸凹しやすいからです。

ある月は大型工事が完成して粗利が大きく出る。

別の月は進行中工事が多く、完成工事が少ない。

こうしたことは珍しくありません。

したがって、

月別に計画する。しかし、経営判断では当月だけでなく累計でも確認する。

という見方が必要です。

たとえば、9月までの累計必要粗利が6,000万円だったとします。

このとき、まず確認したいのは、

9月までの累計実現粗利がいくらだったか

です。

仮に累計実現粗利が5,200万円なら、

累計必要粗利 6,000万円
-累計実現粗利 5,200万円
=現在までの不足 800万円

となります。

これは、

「今この時点で、計画に対してどこにいるのか」

を見る数字です。

単月だけではなく累計で見ることで、工事の完成時期の凸凹に振り回されにくくなります。

「現在地」と「今期の着地」は分けて見る

ただし、ここでもう一つ分けて考えたいことがあります。

9月時点で累計必要粗利に800万円足りていないからといって、

「今期は800万円不足する」

と決めつけることはできません。

なぜなら、建設会社には、

・すでに完成して粗利が実現した工事
・受注済みで、これから今期中に粗利が実現すると見込める工事

があるからです。

そこで次に見るのが、

今期全体の着地見込みです。

Gリバースでは、粗利を、

実現粗利
=すでに完成等により実現した粗利

確保粗利
=受注済みで、今後実現すると見込む粗利

未確保粗利
=まだ受注できておらず、これから確保しなければならない粗利

に分けて考えます。

以前からお話ししてきた、

必要粗利=実現粗利+確保粗利+未確保粗利

という考え方です。

今期あと、いくら粗利を取りに行く必要があるのか

たとえば、年間必要粗利が1億2,000万円だとします。

9月までにすでに実現した粗利が6,000万円。

さらに、現在の受注残などから、今期中に4,000万円の粗利が確保できていると見込めるとします。

すると、

年間必要粗利 1億2,000万円
-実現粗利 6,000万円
-確保粗利 4,000万円
=未確保粗利 2,000万円

となります。

この2,000万円が、

「今期、まだ取りに行かなければならない粗利」

です。

ここまで見えると、

「年間粗利目標は1億2,000万円です」

というだけの管理から一段進みます。

あと2,000万円の粗利を、どの工事・どの受注で確保するのか。

受注金額で考えると、どの程度必要なのか。

何件程度必要なのか。

営業活動をどこまで進めなければならないのか。

という経営判断へつなげられます。

Gリバースでは、二つの見方を分ける

ここまでを整理すると、建設会社の粗利管理には、少なくとも二つの見方があります。

一つは、

現在地を見ること。

累計必要粗利

累計実現粗利

を比べて、

「今この時点で、計画に対してどこにいるのか」

を確認します。

もう一つは、

今期の着地を見ること。

年間必要粗利

実現粗利+確保粗利

を比べて、

「今ある工事・受注を前提にすると、今期どこまで届きそうか」

を見ます。

そして、その差が、

未確保粗利

です。

ここは、単なる予算実績管理とは少し違うところだと思います。

過去の実績と予算を比較するだけではありません。

3年後の会社から、

3年後の組織

年間必要粗利

月別・累計必要粗利

という未来から必要な数字を降ろしてくる

一方で、

完成工事
+受注済み工事

実現粗利・確保粗利

という現場から数字を積み上げる

そして、その差から、

まだ何を取りに行かなければならないのか

を考えていきます。

問題は「確保粗利をどう把握するか」

ここまで来ると、次の問題が出てきます。

実現粗利は、完成した工事等から把握できます。

では、

受注済みで今後実現すると見込む「確保粗利」

は、何を見れば分かるのでしょうか。

ここで必要になるのが、

工事台帳や受注残などの情報です。

ただ、工事台帳と受注残を持っていれば、それだけで確保粗利が分かるわけでもありません。

どの工事が今期中に売上・粗利として実現する見込みなのか。

どの工事の粗利をどのように見込むのか。

どの数字を、どの帳票から拾うのか。

ここからが、建設会社の経営管理としての実務部分です。

最後に

今回までで、

3年後の組織

年間必要粗利

月別・累計必要粗利

という未来から降ろしてくる数字を、今月の経営まで落としてきました。

そして、現在地を見るときには、

累計必要粗利

累計実現粗利

を確認する。

一方で、今期の着地を見るときには、

年間必要粗利

実現粗利+確保粗利

を確認する。

その差が、

未確保粗利=まだ取りに行かなければならない粗利

です。

これで、

「今、計画に対してどこにいるのか」

「今ある工事で、今期どこまで行けそうなのか」

「あと、どれだけ取りに行かなければならないのか」

を分けて考えられるようになります。

ただし、まだ一つ大きな問題が残っています。

その確保粗利を、建設会社は実際に何の帳票から、どう把握すればよいのでしょうか。

次回は、

・年間・月次粗利計画
・工事台帳
・受注残

などを整理し、

「建設会社は毎月、何を見ればよいのか」

を考えていきます。

帳票を増やすことが目的ではありません。

必要粗利と、実現粗利・確保粗利をどうつなぎ、会社の未来を毎月読める状態を作るのか。

次は、そこへ進みます。