3年後の組織図を「今月の経営」に変える方法

3年後、あなたの会社には何人の社員がいるでしょうか。
誰が幹部になり、誰が現場を支え、社長自身はどんな仕事をしているでしょうか。
Gリバースでは、3年後の売上目標を考える前に、まず「3年後の組織図」を描くことを大切にしています。
なぜなら、社長が本当に実現したいのは「売上3億円」という数字そのものではないからです。
社員の給与を上げたい。
若い社員を採用したい。
右腕となる幹部を育てたい。
自分は少しずつ現場を離れ、経営に時間を使いたい。
そんな「実現したい会社の姿」が先にあり、その会社を実現するために必要な利益がある。
そして、その利益を生み出すために必要な粗利益が決まります。
ここまでは、これまでのGリバースでも何度かお伝えしてきました。
今回は、その先です。
年間の必要粗利が分かっても、会社は変わらない
例えば、3年後に実現したい組織を維持するためには、
年間6,000万円の粗利益が必要
だと分かったとします。
では、
「今年の粗利目標は6,000万円です」
と社員に伝えれば、経営計画になるでしょうか。
あるいは12か月で割って、
「毎月500万円の粗利益を上げよう」
と決めればよいのでしょうか。
これだけなら、Excelで年間計画を作ることと、それほど変わりません。
経営管理で本当に重要なのは、
6,000万円という年間目標を、今日の経営判断まで分解すること
です。
6,000万円のうち、すでにいくら確保できているか
例えば、4月末時点で考えてみましょう。
年間必要粗利 6,000万円。
そのうち、すでに完成した工事などから実現した粗利が1,500万円あったとします。
さらに、すでに受注している工事を確認すると、今後2,700万円の粗利が見込める。
すると、
実現粗利 1,500万円
受注済みの確保粗利 2,700万円
合計4,200万円です。
年間必要粗利は6,000万円ですから、
あと1,800万円の粗利を、これから新たに確保しなければならない
ことが分かります。
私は、この「あといくら必要なのか」を経営管理で非常に重要な数字だと考えています。
売上ではなく「未確保粗利」を追いかける
ここで社長に、
「今年はあと売上1億円必要です」
と言っても、具体的な行動にはなかなかつながりません。
しかし、
「残り8か月で、あと1,800万円の粗利を確保する必要があります」
なら、話が変わります。
平均して1件300万円の粗利が取れる工事なら、あと6件。
150万円なら12件です。
ここまで分解すれば、
「年間6,000万円の粗利を稼ぐ」
という大きな目標が、
これから何件の仕事を取らなければならないのか
という現実の経営課題に変わります。
さらに、その6件について、
何件が見積提出中なのか。
何件が商談中なのか。
そもそも必要な案件数が営業パイプラインに存在しているのか。
ここまで見れば、財務と営業がつながります。
粗利を3つに分けてみる
年間の必要粗利を、私は次の3つに分けて考えると分かりやすいと思っています。
① 実現粗利
すでに完成・売上計上され、実際に獲得した粗利。
② 確保粗利
受注済みで、これから実現することが見込まれる粗利。
③ 未確保粗利
目標達成のために、これから新たに受注しなければならない粗利。
つまり、
必要粗利 = 実現粗利 + 確保粗利 + 未確保粗利
です。
毎月見るべきなのは、単に「今月はいくら儲かったか」だけではありません。
未確保粗利が、先月よりどれだけ減ったのか。
ここを見るのです。
先月1,800万円だった未確保粗利が、今月1,500万円になった。
ならば、3年後に作りたい会社へ少し近づいています。
逆に2,000万円へ増えているなら、何かが計画から外れ始めています。
受注が足りないのか。
予定していた粗利率が取れていないのか。
工事原価が上がっているのか。
価格設定に問題があるのか。
ここで初めて、数字が経営判断に使われ始めます。
月次試算表を「過去を見る資料」で終わらせない
多くの会社では、月次試算表を見ながら、
「先月はいくら売れた」
「利益はいくら出た」
「前年より良かった、悪かった」
という話をします。
もちろん、それも必要です。
しかし、それだけでは数字は過去の記録です。
財務部長的な経営管理では、数字を未来を見るために使います。
今年必要な粗利はいくらか。
そのうち、すでにいくら実現したか。
受注済みで、いくら確保できているか。
まだいくら足りないのか。
そして、
その不足を埋めるために、今月何をしなければならないのか。
ここまで落として初めて、年間計画が毎月の経営につながります。
3年後の組織図と、今月の営業活動はつながっている
ここで、最初の「3年後の組織図」に戻ってみましょう。
3年後、社員を増やしたい。
給与を上げたい。
幹部を育てたい。
社長自身の働き方も変えたい。
そのためには、会社として一定の粗利益を継続して稼げる状態を作らなければなりません。
だから、
3年後の組織図
から、
必要な年間粗利
が決まり、
そこから、
実現粗利・確保粗利・未確保粗利
へ分解し、
さらに、
必要受注件数
へ落とし、
最後には、
今月、何をしなければならないのか
までつなげていく。
3年後の夢と、今日の経営は、本来一本につながっているのです。
経営計画は、年に一度作って終わるものではない
3か年計画を作ったことのある会社は少なくありません。
しかし、立派なExcelを作って、その後ほとんど見なくなってしまった経験のある社長も多いのではないでしょうか。
それでは計画は経営に生きません。
大切なのは、
「3年後どうなりたいか」を決めることだけではありません。
そこから逆算して、
今、自分たちはどこにいるのか。
あとどれだけ粗利を確保する必要があるのか。
そのために今月何をするのか。
を毎月確認することです。
3年後の組織図が、毎月の経営判断につながっている。
私は、そんな状態になって初めて、経営計画が会社を動かし始めるのだと思います。
そして、もう一つ忘れてはいけないことがあります。
粗利が予定通り確保できていても、会社のお金が足りるとは限りません。
会社が成長すると、人を採用する前にも、設備を買う前にも、売上が増える過程でもお金が必要になります。
次回は、
「利益が出ているのに、なぜお金が足りなくなるのか」
という問題から、粗利計画と資金繰りをどうつなげるかを考えてみたいと思います。

昭和63年、中央大学商学部卒。
その後、大手ゼネコン勤務等を経て、平成7年、石田雄二税理士事務所開業。
「会計事務所は最も身近な経営スクール」をモットーとし、マネジメントゲームを用いた経営指導は県外にまで及ぶ。
広島県創業サポーター。広島県事業引継ぎ支援センター登録専門家。