『急成長と倒産リスクの関係』 …まずは会社を倒産させないことが重要です。

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ある関与先様の事例ですが、銀行に融資を申し込んだところ、
売上が急激に伸びていることを懸念され、融資を断られそうに
なりました。通常、売上が伸びることは良いことですので、意
外に思われるかもしれませんが、金融機関は急成長企業を敬遠
することもしばしばあります。

「急成長企業が突然倒産した。」といったニュースを耳にされ
たことがあるかもしれませんが、急激な売上の増加は、場合に
よっては倒産確率も高めます。倒産確率が高まる要因は、急な
成長に、「人がついていけない。」「商品サービスのクオリテ
ィが維持できない。」など様々ありますが、結果として、資金
が回らなくなることが直接的な要因です。

■ 急成長企業が陥りやすいパターン
1.売上を伸ばすためには、設備投資、仕入や人員の増加等が
  必須です。急成長を目論む企業は、銀行から最大限の資金
  調達を行って、他の企業よりも多くの資金を事業に投資し
  ます。
2.投資に比例して売上や利益が伸びると、銀行がさらに融資
  をしてきます。その融資金を事業に投資して、さらに売上
  と利益を伸ばします。売上や利益が伸びると、銀行がさら
  に融資をしてきます・・・繰り返します。
3.やがて投資をしても売上や利益に反映されない踊り場が訪
  れます。しかし、銀行から融資を止められないようにする
  ため、踊り場でも無理をします。無理な経営が何らかのト
  ラブルを招き、利益が大きく損なわれます。
4.赤字に転落することで融資が止まり、たちまち資金が回ら
  なくなってしまいます。

弊所は、「資金は借りられる時に借りられるだけ借りましょう。」
というメッセージを平素から発信していますが、その目的は、
いざという時のために手元資金にゆとりを持ちましょうという
ことであり、限界まで事業に投資をすることを推奨している訳
ではありません。手元資金をしっかりと確保して倒産リスクを
回避しながら、自社に合った無理のないスピードで成長を目指
すことを指針としています。

早く会社を大きくしたいという思いは経営者として当然のこと
と思いますが、踊り場に来たと感じたら、一休みしてはいかが
でしょうか。一旦成長を止めることで、増加運転資金が不要に
なりキャッシュフローが改善されます。踊り場で少し体力をつ
けてから再度成長を目指すのが、無理のない財務戦略だと考え
ます。

冒頭の関与先様ですが、創業から現在までの4年間の資金繰り
実績表を銀行に提示し、やみくもに成長を目指してきた訳では
なく、安全性を確保できる範囲で資金を事業に投資してきたこ
とを理解してもらいました。結果、無事に満額の融資を受ける
ことができています。