『創業者様相談事例(その2)』 〔Q&A〕その4:人脈・営業先開発について? 〔Q&A〕その5:創業融資をすぐ受けるべきか? 〔Q&A〕その6:大きなチャンス?大きな賭け?力相応か?

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…前回号からのつづきです。

創業者様からの相談に対するQ&Aを整理します。経営は百社
百様です。故に、これが正解でこれは間違いなどと断定するつ
もりはありませんが、それでもある程度の方向性をお示しする
ことはできます。以下、ご確認ください。

■〔Q&A〕その4:人脈・営業先開発について?

●(創業者D氏)
『2か月前に創業しました。日々、販売する商材と人脈を求め
て駆け回っています。なかなかいいアイデアとご縁が見つかり
ません。』

◎(当事務所担当者)
『アイデアやご縁を外に求めることも重要ですが、まずは、自
分のキャリアを整理してください。何が得意なのか?何ができ
るのか?何をしたいのか?仮説の立案が先です。私はこんなこ
とをしたい、こんなイメージ、この思いを持ったうえで、その
仮説を検証するために動きましょう。やみくもにご縁を求めて
も、自分にとって本当に必要なアイデアやヒントは見つかりま
せん。』

●(創業者D氏)
『名刺はたくさん集まりましたが。』

◎(当事務所担当者)
『本当に必要な名刺の数は、多分十枚から多くて数十枚でしょ
う。量より質です。動き過ぎずに、一人で考える時間を増やし
てください。動く、動く、動くではなく、考える、考える、動
く、考える、考える、動く、こんなイメージで行動してくださ
い。』
…つづく

■〔Q&A〕その5:創業融資をすぐ受けるべきか?

●(創業予定者E氏)
『小さなお店を開業します。貯金と親からの援助を合わせて800
万円あります。とりあえず手持ち資金だけで事業をスタートし
てみようと思っています。』

◎(当事務所担当者)
『半年後に黒字化する計画ですね。黒字化が遅れたら、資金不
足に陥りますね。』

●(創業予定者E氏)
『予定通り立ち上がらなかったら金融機関に融資をお願いしよ
うと考えています。それに、「借り入れはできるだけするな」
と言われています。』

◎(当事務所担当者)
『資金不足に陥った時点で融資を依頼するのと、現時点で融資
を依頼するのとでは、後者の方がはるかに借りやすいですよ。
また、ぎりぎりの資金計画で開業するよりも、今資金を調達し
て、資金に余裕を持って経営した方が楽ではないですか?困っ
た時に借入れができないリスクを取るより、今借り入れを起こ
して金利を払って、使わずに銀行口座に残しておく方法を推奨
します。』
…つづく

※「借入れは絶対しない」この決意なら別ですが、「困ったら
借りよう」この気持ちがあるなら困っていない今のうちに融資
を受けてください。「困った時には借りにくい」この理屈を理
解してください。金融機関にあるのはすべて「日傘」です。
「雨傘」はありません。

■〔Q&A〕その6:大きなチャンス?大きな賭け?力相応か?

●(創業者F氏)
『大きなチャンスがきました。この仕事がうまくいけば、一気
に事業が立ち上がります。』

◎(当事務所担当者)
(創業10ヵ月目、月商200万円(粗利益100%)の工事請負業
様です。)

『少しずつ順調に立ち上がってきましたね。今回受注できそう
な仕事は、8,000万円・工期4か月の元受工事ですね。粗利益率
はどれくらいですか?』

●(創業者F氏)
『20%ぐらいです。』

◎(当事務所担当者)
『売上高8,000万円、粗利益額1,600万円、原価(外注費)6,400
万円になりますね。どこかでつまずいたら致命傷になります。
大丈夫ですか?』

●(創業者F氏)
『どんなリスクがありそうですか?』

◎(当事務所担当者)
『施主さんからの支払いが遅れる、途中で設計変更が入って工
期がずれる、また、当社の下請けさんの都合で工期が遅れて入
金が遅れる等、何かが起きたときに当社に余裕が全くありませ
ん。』

●(創業者F氏)
『経営にはリスクが伴うものではないのですか?』

◎(当事務所担当者)
『これは健全なリスクというより、一か八かに近い不健全なリ
スクに見えますがいかがでしょうか?』『元受は大きな会社に
譲って、有利な工事を部分的に請け負ったらどうですか?』
…つづく

※リスクには、「力相応のリスク」と「力不相応のリスク」が
あります。経営上のリスクは、「力相応のリスク」の範囲に留
めてください。

次回号につづきます。