『働き方改革の精神は、「1日休養、1日教養」(松下幸之助氏)』 …『ワーク&ライフ&ラーン』バランスとすべきでは?

投稿日時

■労働基準法第35条には「使用者は、労働者に対して、毎週少
くとも一回の休日を与えなければならない」と書いてあります。
この法律が制定されたのは1947年で、今も変わりません。週休
二日制は法令の定めるところではありません。
有名な話ですが、週休二日制を始めたのはパナソニック(当時
は松下電器産業)の松下幸之助氏で、そのスタートは1965年で
す。1980年頃には多くの企業に、官公庁に導入されたのは1992
年、さらに、公立小中学校及び高等学校の多くでは、2002年に
毎週土日が休みになっています。
いざなぎ景気の真っただ中の多忙期に、松下電器(当時)の労
働組合は大反対したそうですが、松下幸之助氏は、「1日休養、
1日教養」の精神を説いて導入に踏み切ったそうです。

■松下幸之助氏の「1日休養、1日教養」の精神とは…松下幸
之助自身の著書『社員心得帖』(PHP研究所)から引用させて
いただきます。

『…私どもの会社では、昭和四十年に完全週五日制に踏みきっ
たのですが、それから半年ほどたったころ、私は社員につぎの
ような話をしたことがあります。「わが社が週五日制になって
から半年の月日がたったけれども、皆さんは週二日の休みをど
のような考えで過ごしておられるだろうか。一日教養、一日休
養というように有効に活用できているかどうか。二日間の休み
を無為に過ごすのでなく、心身ともにみずからの向上をはかる
適当な方法を考え、実行していただきたいと思う。ただ、その
みずからを高めるというか、教養を高めたり、仕事の能力を向
上させたり、あるいは健康な体づくりをすることと関連して、
私は一つ皆さんにお尋ねしたい。それはどういうことかという
と、ほかでもない。皆さんが勉強なり運動をするときに“自分
がこのように自己の向上に努めるのは、ただ単に自分のためば
かりではない。それは社会の一員としての自分の義務でもある
のだ”という意識をもってやっておられるかどうか、というこ
とである。そういうことを皆さんは今まで考えたことがあるか
どうか、また現在考えているかどうかをお尋ねしたいと思う」
そのとき、なぜ私がそのようなことを質問したのかといいます
と、そういう義務感というものは、社員一人ひとりが常にもっ
ていなければならない非常に大切なことだと考えていたからで
す。…』

■社会人として二十年近く時間を経て四十歳ぐらいになると、
そのビジネスマンとしての実力の差は歴然とします。時間を経
て、どんどん天文学的に差は広がります。

1.出来る分野・領域の広さに大きな差が付きます。
○良くできる人は、概ねどんな業務もやる気になれば対応でき
ます。
○そうでない人には、極めて限定的な仕事しか与えられません。
できないからです。

2.業務の精度・スピードに雲泥の差が出ます。
○知恵を使う業務であれば、できる人とそうでない人の差はざ
っと数十倍ぐらいでしょうか。
○単純な業務であっても、その差は3倍ぐらいになるように感
じます。

なぜ、これだけの差がついてしまうのでしょうか。以下の話が
参考になりそうです。

■ある著名な大リーガーの専属トレーナーを長年務めた名コー
チに、話を聴く機会がありました。一流選手と二流選手、そし
て、三流選手の違いについて教えてもらいました。

○三流選手は、練習中も練習をやり過ごしています。練習後は、
当然野球のことを忘れて気楽に生きています。
○二流選手は、練習には全力で取り組んでいます。ただ、練習
後は、あまり野球のことを考えずに過ごしています。
○一流選手は、練習後のオフも、ずっと野球のことを考えなが
ら生きています。そして、野球を考えることを楽しんでいます。
○二流選手と三流選手は、オフを本当の休暇だと捉えています。
○一流選手は、オフを次のシーズンに備えるための期間、休み
を次の試合に備えるための時間と捉えています。
○二流選手と三流選手は、(多分)野球を食うための糧、義務
と捉えているように感じました。
○一流選手は、野球が天職であり、自分に与えられた使命だと
考えているように思いました。
○『活躍の度合いは、もちろん持ち合わせた素質の差によると
ころも小さくないですが、上記のような考え方の差でも大きく
変わります。晩成型の選手は、考え方がしっかりしています。
他の分野も同じではないでしょうか?』と締めくくられました。

年間(365日)の約三分の一は休日です。労働時間は全体
(8,760時間)の約20%です。『ワークライフ』バラン
スで減らしたワークの行先は、ライフのみではなくラーンであ
るべきです。『ワーク&ライフ&ラーン』バランスと定義すれ
ばわかりやすいのかも知れません。
働き方改革で生まれる自分自身の自由時間をどのように活用す
るかで、各人の将来が決まります。
「1日休養、1日教養」(松下幸之助氏)の精神で過ごしたい
ものです。