元請工事(完成基準)の会計は、なぜここまで難しいのか

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建設業の会計で、
元請工事を行っている会社から
よく聞く言葉があります。

「毎月きちんと経理はしているのに、
 経営が良いのか悪いのか分からない」

これは、完成基準という
会計の仕組みに原因があります。

下請工事で毎月出来高請求をしている場合、
請求した金額がそのまま売上となり、
原価との差額で、その月の損益が見えます。

しかし元請工事で完成基準を採用している場合、
工事が完成するまで
会計上の売上や利益は確定しません。

毎月発生する原価は
「未成工事支出金」として積み上がるだけで、
月次の試算表を見ても、
工事が順調なのか、赤字に向かっているのかは
判断できないのです。

多くの経営者は、
赤字になる可能性を感じながらも
「完工責任がある以上、やり切るしかない」
と覚悟しています。

問題は赤字になることではありません。
どこまで赤字が進行するのかが見えないことです。

完成後に
「こんなはずではなかった」
と感じる工事の多くは、
途中で判断材料を持てなかったことが原因です。

完成基準の工事では、
帳簿を整えることとは別に、
工事の途中経過をどう捉えるか
という視点が欠かせません。